海峡を越えて難を逃れた引揚げ
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どんな伝承か
樺太豊原市生まれの女性は体が弱く、祖母が弘法大師を信仰して守ってくれるよう祈っていた。昭和二十年八月十九日、妊娠四か月の彼女は家族より先に引き揚げることになって大泊港へ行ったが、二十一日まで待たされることになる。ソ連軍が来るといけないと誘われ、二十日の昼ごろ会社のポンポン蒸気で出港した。船酔いで幽霊のようになったが、翌二十一日は宗谷海峡の大うねりも酔わずに越え、午後四時に稚内港へ着いた。政府の船を待って二十一日に乗っていれば、留萌沖で沈んだ船とともに海の藻屑となっていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・民話・口承文芸・昭和〜平成)
松谷みよ子『現代民話考 ― 偽汽車』を小話単位で全525話収録。汽車・船・自動車などの乗り物にまつわる現代の民話・怪談を全国から採集。狐狸が汽車に化ける偽汽車、船幽霊、タクシーに乗る幽霊などを地域・話者つきで収録する。各話に採集地(都道府県・市区町村)と話者・回答者を可能な範囲で付す(県判明496話・市区町村判明359話、戦地や場所不明の話を含む)。原典は読者からの投稿・採訪に基づく現代民話の集成。
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稚内市の伝承
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