命日前に大漁を呼んだ無縁仏
どんな伝承か
静岡県加茂郡西伊豆の漁師西尾忠良が語った話。かつて男の水死体を拾ったが身元が分からず、五年間家で供養を続けた。すると命日の一週間ほど前になると必ずといっていいほど豊漁になったという。やがて寺の住職から「もう十分だ、五年も供養すれば無縁仏は成仏する」と勧められて供養を打ち切ると、それ以後の豊漁はほとんどなくなり、普通の漁に戻ったと話者は振り返っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。