石川へ送った帰りに消えた女
どんな伝承か
県庁に勤める運転手から聞いた話である。ある客を県庁から田村郡の石川へ送り、その帰りが夜中近くになった。途中、女が歩いていくのがライトに映った。車の行く方向であり、こんな夜更けにどこへ行くのだろうと車を止めて尋ねると、○○村へ行くというので乗せてやった。十分ほど走って女の言った村に入ったので、どのあたりかと後ろを見ると、確かに乗せたはずの女がいない。そのときは体中がサアッと寒くなってしまった。それから石川方面というと、どうしてもいやな感じが抜けなかったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。