二度の惨事が重なった魔のトンネル
どんな伝承か
二四六号国道の山北辺りには「魔のトンネル」と呼ばれる場所があるという。あるとき、親類の法事に向かっていた東京の一家の車がこのトンネルで衝突し、両親は即死したが、子どもだけが奇跡的に助かった。孤児となった子は親類に引き取られ、叔父夫妻に育てられた。その年の七月、新盆に花束を持って三人でトンネル付近を訪れた際、再び車が衝突し、子どもは花束を握りしめたまま叔父夫妻ともども亡くなったと伝わる。それ以来このトンネルは「魔のトンネル」と呼ばれ、ドライバーたちに恐れられているという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。