河原の火の玉と浅瀬で化かされた男
どんな伝承か
柏原から入間川を渡って対岸の奥富の集落へ行くとき、河原で赤い火の玉がちらちらと点いたり消えたりしながら流れるように動くのが見えたという。これはオトウカの嫁入りで、オトウカが人を化かすときは必ず人の前に出たり後ろに下がったりするのだと伝えられる。あるとき一人の男が川を渡ろうとして、浅瀬を歩いているつもりが急に深みにはまり、さんざん引き回されて「深い、助けてくれ」と叫んだ。その途端、川はもとの浅瀬に戻り、何事もなかった。オトウカに化かされたと感じたら、すぐタバコをふかすとよいという。オトウカはタバコの煙が苦手だからだそうだ。
原典より
昔、柏原より川向こうの奥富の在へ行くとき、河原で赤い火の玉がピカリピカリとついたり消えたり、流れるように動くのを見たそうだ。—— 狭山市史 民俗編(狭山市(狭山市史編さん室/民俗調査担当)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
狭山市史 民俗編(狭山市(狭山市史編さん室/民俗調査担当))
『狭山市史 民俗編』は、狭山市の市史のうち民俗を扱う巻で、ここにはその「五 伝説・昔話・世間話」の部分が収められている。堀兼・入間・奥富・柏原・水富・入間川の各地区で古老の座談会と個別の聞き取りによって集めた話を、話者の地区・名・生年を添えて載せ、不老川や堀兼の井、影隠地蔵、キツネ、豪商綿貫家の話などを含む。伝説は水・動物・植物・地名・人物・塚・神仏・地蔵・妖怪変化など十項に分け、話ごとに[解説]を付す。