旅人が語った吉田宿の最初の降札
どんな伝承か
駿河国の大宮宿には、慶応三年の暮れに同地を訪れた旅人の話を書き留めた記録が残る。それによると十二月十日、伊勢の白子嶋村の茂兵衛という者が大宮宿へ来て、このたび諸国へ御札が降った初めは三河吉田宿であったと語った。茂兵衛はその年の七月十九日に吉田宿へ泊まったが、そのとき前夜に御札が降ったと聞いたという。したがって七月十八日夜に最初の御札降りがあり、そこから東西へ分かれて各地に広がったことになる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
ええじゃないか始まる(田村貞雄・1986年(昭和61年))
『ええじゃないか始まる』は、田村貞雄が一九八六年に著した幕末の民衆運動「ええじゃないか」の研究書である。慶応三年に三河から遠江・駿河へ広がった御札降りの発端を、牟呂村の「二夜三日正月」、御鍬百年祭、吉田宿の助郷騒動、秋葉信仰との関わりから、村方の文書や日記、市町村史の史料をもとに追う。はしがきに続く八章で発端から波及、仕掛人をめぐる諸説、祭の後の「代替わり」までを論じ、主な史料はその原文を別組で示す。