円頓寺の弟子と鬼子母神の御札
どんな伝承か
水野正信の「青窓紀聞」によると、名古屋の日蓮宗の寺である円頓寺では、鬼子母神の御札を持ち出したとして弟子が捕らえられる騒ぎがあった。ところが実のところは、西国からやって来た別の弟子が帰りの旅費に困り、御札を三五十枚もらい受けたことが、そのように伝わったものらしいという。「感興漫筆」にも万松寺・円頓寺の僧が御札を降らせて捕まった件として記されており、御札降りの仕掛け人を山師とみる説に対して、僧を山師になぞらえるのは無理があるという批判も紹介されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
ええじゃないか始まる(田村貞雄・1986年(昭和61年))
『ええじゃないか始まる』は、田村貞雄が一九八六年に著した幕末の民衆運動「ええじゃないか」の研究書である。慶応三年に三河から遠江・駿河へ広がった御札降りの発端を、牟呂村の「二夜三日正月」、御鍬百年祭、吉田宿の助郷騒動、秋葉信仰との関わりから、村方の文書や日記、市町村史の史料をもとに追う。はしがきに続く八章で発端から波及、仕掛人をめぐる諸説、祭の後の「代替わり」までを論じ、主な史料はその原文を別組で示す。