樹皮の下の虫を透視した御船千鶴子
どんな伝承か
明治四十一年頃、熊本の松合村(現・宇城市)に住む御船千鶴子は、兄の勧めで深呼吸をして無我の境に入る修養を続けていた。ある日、庭の縁側に立って何心なく梅の立木を眺めていると、その幹に二分ほどの虫が見えた。「梅の木に虫がいます」と言うと傍らの人は「そんなものはいない」と言ったが、千鶴子は「確かにいます」と断言する。皮を剥いでみると、樹皮の下に果たして二分ほどの虫がいた。また別の日、海岸で金の指輪を海に落とした際、千里眼を試そうと石に腰かけ、無我の境で海を見つめると、砂と貝の下に隠れた指輪の在処がありありと見えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
千里眼獨習(神秘術研究會)
『千里眼獨習』は、神秘術研究會が著し、盛報館から出た千里眼の独習書である。密封した書状を読んだ下婢の話やスウェーデンボルグが遠方の火災を知った話、御船千鶴子の透視実験など内外の事例を挙げ、千里眼の理論、催眠術との関係、意志・感情・身体の修養による練習法を説く。例言と内容目次に続く十六項目の本文に、手・爪・顔の部位から人の性質や吉凶を見る付録「人生豫言術」を添える。