丸亀の千里眼・念写事件
どんな伝承か
訳者は序文で、心霊現象を調べる側の態度を問題にし、その戒めとして十五年ほど前に丸亀で起きた千里眼と念写の事件を挙げる。科学者たちは術者に箱を差し出して実験を求めたが、その箱には乾板が入っておらず、術者にそれを見抜かれて、かえって騒ぎになったという。訳者は、相手は感情の揺れやすい人間であるのに、物を扱うのと同じ冷たいやり方で調べたのは不親切で侮辱的だったと批判し、詐欺や手品と決めつける前に、思いやりのある方法で十分に確かめるべきだと説いている。
原典より
殷鑑遠からず、過去十五年前、丸亀に於ける千里眼及念寫事件が能く其間の失敗を物語つて居り、科學者の提出した箱の中に乾板の存在せざることを術者から観破せられ、…—— 現代心霊現象之研究(エッチ・カーリントン・心霊研究・1924年(大正13年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代心霊現象之研究(エッチ・カーリントン・心霊研究・1924年(大正13年))
『現代心霊現象之研究』は、米国のエッチ・カーリントンが一九一九年に著した『現代心霊現象』の関昌祐による訳書で、訳者の序辞は大正十三年五月二十日付である。心霊現象と進化論・心理学・生物学・倫理学の関係を論じる部と、霊媒ユーサピアの回想、幽霊、心霊写真、心霊体の投影、憑きもの、エルバーフェルトの馬、植物の霊などを扱う部から成る。巻頭に福来友吉の序文、巻末に山梨県の渡辺偉哉の念写実験と福来の念写理論を記す附録と、水晶球凝視の実験報告を置く。