中島中将の催眠術で女中尾行
どんな伝承か
中島海軍機関中将がまだ大佐だった明治四十年頃、催眠術に凝っていた。夫人や令嬢、特に少しぼんやりした女中がよく材料にされた。ある日、中島は一人の女中お春を横須賀市内へ買い物に出すと同時に、もう一人の女中に催眠術をかけ、お春の行動を観察するよう命じた。すると催眠中の女中は、お春が大滝町を歩き八百屋で大根とネギを買い、菓子屋で最中を二十銭銀貨で買い、水交社の酒保で洗濯石鹸と蝋燭を買う様子を逐一言い当てた。折しもお春が風呂敷包みを提げて戻ると、歩いた道順も買った品物も寸分違わなかった。浅野和三郎『出廬』所載。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の世界 ― 心霊科学入門(板谷樹・宮沢虎雄・1971年(昭和46年))
『霊魂の世界――心霊科学入門』は、板谷樹と宮沢虎雄が昭和四十六年に著した心霊科学の入門書である。古代の霊魂観や内外の幽霊の記録に始まり、ハイズビル事件と英米の心霊研究学会の創立、霊視・霊言などの精神的現象、物質化や心霊写真などの物理的現象、心霊治療、死と再生までを、日本心霊科学協会での実験や勝五郎再生の現地調査を交えて述べる。全十二章からなり、昭和四十二年に徳間書店から出た同題の本に筆を加え、同協会が自費出版したものである。