肺結核を癒した催眠術の信奉者
どんな伝承か
日本に催眠術をもたらしたのは榎本武揚だといわれ、精神療法の手立てとして近代以降の日本で最初に用いたのは漢方医の馬島東伯だという。麻布学園を興した江原素六もその一人で、重い肺結核を催眠術によって治した体験から熱心な信奉者となり、やがて自分でも人に術をかけられるようになって、催眠術の中興の祖と呼ばれた。知名の人々の間でも、こうした経緯で支持者が増えていった。催眠術には実際に病を治す効き目があり、既存の学問の理屈でも説明のつく部分があったため、医学や心理学からも公認の研究対象となり得たのである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊と神秘世界(福来友吉・1932年(昭和7年))
『心霊と神秘世界』は、文学博士福来友吉が著し、昭和七年に人文書院から発行された心霊研究と仏教思想の書である。御船千鶴子・長尾夫人・三田光一らの透視と念写をはじめ、霊の幻化、念動、物質化など国内外の心霊現象を実験記録とともに論じ、後半では自我・神秘世界・霊と生命を真言密教や華厳の教えによって説く。全五編からなり、この本文は昭和五十七年に心交社が出した復刻版で、梅原正紀・井村宏次らの「解説研究編」を付している。