臍から金を出す子とヒョウトクの面
どんな伝承か
奥州に伝わる竈の火焚き男、カマヲトコをめぐる報告である。陸前の登米、本吉、気仙、陸中の東磐井、江刺などでは、粘土や木で刻んだ円い眼で口を突き出した怪奇な面を竈前の柱に掛ける風習があり、その柱をカマヲトコ、面をヒョウトク、ショウトクなどと呼ぶ。由来はこう語られる。爺が山で見つけた穴に刈り溜めた柴を入れ尽くすと、穴から美しい女が出て礼を言い、館へ招いて醜い子供を与えた。その子の臍を火箸で突くと金の小粒が落ち、家は富んだ。欲深な婆が強く突いて子は死に、夢に現れて自分の顔に似た面を竈の柱に掛けよと教えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。