来てくれない医者と屋号の喜内
どんな伝承か
八條の字中島には、喜内という屋号で呼ばれる家がある。昔その家に喜内という漢方医がいたことから、それが家の屋号になったのだという。ところが鶴ヶ曽根の話者は、別のいわれを語っている。その医者は、用があって呼びに行っても、何度足を運んでもなかなか来てくれなかった。そのことから、誰が言い出したともなくキナイサマと呼ばれるようになったのだという。
原典より
その医者様は、必要があって呼ぶ時、何度呼びに行っても来てくれない、それから誰いうとなく、キナイサマと呼ぶようになったのだと。—— 八潮市史 民俗編――伝説・怪異(八潮市(編)・八潮市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
八潮市史 民俗編――伝説・怪異(八潮市(編)・八潮市史)
『八潮市史 民俗編――伝説・怪異』は、埼玉県の『八潮市史』民俗編から伝説の部分を収めたものである。市内の各地区で聞き取った稲荷火や狐の嫁取り提灯、狢・河童・蛇の話、徳川家康の鷹狩りにちなむ地名や塚の由来、地蔵や人魂、念仏橋の話を、話者の言葉づかいのまま地区名を添えて並べる。概説のあとに自然伝説・歴史伝説・信仰伝説の三つに分け、話の群ごとに『日本民俗事典』や『武蔵の伝説』などを引いた参考を付ける。