六部の首が呪った廻船問屋
どんな伝承か
劔地とは脇野沢にあって廻船問屋を営み繁盛した店の屋号で、脇野沢本村には劔地畑、劔地山、劔地屋敷の地名が残っている。「浜の砂ァ尽きても劔地屋敷の銭っ尽ね」といわれるほどの財産があった。ある時、旅の六部が劔地の屋敷に泊まった。劔地の女中が金を盗み出し味噌樽のなかに隠したが、翌日、何も知らない六部は寄浪へ子持ち石を拾いに出発した。金が無くなったことに気付いた劔地は六部の仕業と思い追手を繰り出し、新井田から海岸ずたいのサガレ岩で追いつき、六部の首を刎ねた。首は飛びあがって岩に噛みつき「劔地七代流れ川の尻まで流れる」と呪ったという。やがて不幸が続き、七代もたたぬうちに家産は尽きた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承(脇野沢村(編)・脇野沢村史)
『脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承』は、下北半島の最西端にある脇野沢村の村史民俗編のうち、口承文芸を扱った第七章である。村で採集した一一七話の昔話の特色と語りの場・語り手、地名をめぐる伝説、人を化かすキツネや狐の嫁取り・仇討ちの世間話、夢の予兆をめぐる伝承、天候や豊漁・豊作の諺を収める。章を昔話、伝説と世間話、諺と言葉遊びの三節に分け、昔話には『日本昔話大成』の話型分類による対照表を付す。