畑に響く木を転がす音はキツネ
どんな伝承か
脇野沢では、山の畑で女たちが畑仕事をしていると、木を転がすような音が聞こえることがあった。その音はとくにキツネの鳴き声に近いというわけでもないが、女たちはキツネの仕業だろうと話し合ったという。脇野沢で人を化かすと考えられていたのはキツネだけではなく、マメコウと呼ばれるアナグマや、クセコウと呼ばれるタヌキも人を化かすことが知られていた。しかし圧倒的にキツネが多く、クセコウが人を化かす場合には命をとるといわれ、キツネは命をとらないといわれていたが、結果的にキツネにも命をとられることがあったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承(脇野沢村(編)・脇野沢村史)
『脇野沢村史 民俗編――伝説と世間話・キツネ伝承』は、下北半島の最西端にある脇野沢村の村史民俗編のうち、口承文芸を扱った第七章である。村で採集した一一七話の昔話の特色と語りの場・語り手、地名をめぐる伝説、人を化かすキツネや狐の嫁取り・仇討ちの世間話、夢の予兆をめぐる伝承、天候や豊漁・豊作の諺を収める。章を昔話、伝説と世間話、諺と言葉遊びの三節に分け、昔話には『日本昔話大成』の話型分類による対照表を付す。