赤地蔵を拝んだ手品つかい扇正
どんな伝承か
中田切の赤地蔵の裏手には、明治のころ河原崎扇正という手品つかいが住んでいて、その場所を扇正屋敷と呼んだ。扇正ははじめ土浦へ出て絵を学び、のちに北海道へ渡って手品を覚えたという。得意の芸は、白い紙を切ってどんぶりに入れ、湯を注ぐとうどんに変わるというもので、演じるときは必ず本家の河原崎癸巳の家へ行き、本物のうどんを用意させていた。秘仏の赤地蔵を水垢離までして拝み、ようやく目にしたときには「あか地蔵とは申せどもその実体はまっ黒け」と狂歌を詠んでいる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説(利根町(編)・利根町史)
『利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説』は、利根町が編んだ町史の一巻で、第一章を「民話と伝説」にあてる。町内を歩いて聞き集めた話と『北相馬郡志』などから引いた話を収め、大平権現や布川の地蔵の由来、バッソンの笑い話、大蛇・河童・むじなやキツネに化かされた話、押付新田の鶴殺し事件などを載せる。伝説と昔話に分けず文・布川・文間・東文間の地区ごとに節を立て、各話の題に伝承地を添え、話者名や方言の語釈を注記する。