ねずみ除けに詣る草岡の赤地蔵
どんな伝承か
長井市草岡の集落から西へ上る道の右手、山裾に赤い屋根の堂が見える。これが草岡地蔵堂で、『西根の歴史と伝承』は文化四年、洞松寺十六世文明恵紋大和尚の代の創建と伝える。天井の絵や胴突き石の一つ一つにまで経文が記されるなど、造りには細かな手が入っていたという。ここの赤地蔵は鼠を退けてくれると信じられ、春蚕の掃き立てを控えた時季には近在の主婦が競って参った。供えた砂糖餅や団子を子どもたちが持ち去ると、地蔵に受け取ってもらえたと言って喜んだそうである。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊(置賜民俗学会ほか・置賜の庶民生活)
『置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊』は、置賜地方の民間信仰を、奥村幸雄・武田正らが項目ごとに分担して書いた民俗誌である。人の一生や食物・病気の禁忌、天気占い・作占い・予兆とまじない、ワカ(巫女)、病を治す薬師・道祖神・地蔵、死霊と魂招び・死水の習俗を、古老からの聞き書きや薬の書付を交えて記す。「禁忌・卜占・予兆」「生活の中の神々」「死霊」などの部に分け、項の末尾に執筆者名を記す。