赤頭巾の亡者が唄う疱瘡の噂
どんな伝承か
疱瘡は流行病のなかで最も恐れられ、軽くすんでもあばたが残ると案じられた。米沢では天明三年に大流行し、寛政七年には死者も多く出た。上杉鷹山の子である顕孝も、その前年に江戸で疱瘡にかかって世を去っている。人々は、柏寿様のような医者がほしい、あばたになっても死にはしまい、と俗謡に唄った。そのころ、夕方になると町の寺々に赤い頭巾をかぶった亡者が現れ、同じ唄を口にするという噂が流れたという。病は置賜一円へ広がり、村々では藁人形を作って鉦を叩き、村境で火をつけて流す病送りが行われた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊(置賜民俗学会ほか・置賜の庶民生活)
『置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊』は、置賜地方の民間信仰を、奥村幸雄・武田正らが項目ごとに分担して書いた民俗誌である。人の一生や食物・病気の禁忌、天気占い・作占い・予兆とまじない、ワカ(巫女)、病を治す薬師・道祖神・地蔵、死霊と魂招び・死水の習俗を、古老からの聞き書きや薬の書付を交えて記す。「禁忌・卜占・予兆」「生活の中の神々」「死霊」などの部に分け、項の末尾に執筆者名を記す。