四十九日ごとに続いた教師の死
どんな伝承か
亡くなっていた美妓クヤーマの霊と知らずに一夜を過ごした石垣島の村山先生は、事情を知って倒れ、日に日に衰えた。同僚の上地先生は夏休みが明けて竹富島の小学校へ戻ったが、ある夜の午前二時ごろ、宿直室で窓の外から村山先生に呼ばれる声を何度も聞いた。小使の老人は野良猫だと言い張ったが、明け方に届いた手紙は、村山先生がまさにその刻に息を引き取ったと告げていた。気を病んで教職を辞した上地先生は、養蚕の指導で離島を巡るうち、西表島の大原から古見へ馬で浅瀬を渡る途中、馬ごと珊瑚礁の割れ目に落ちて溺れ死んだ。二人の死は、それぞれ前の死から四十九日目だったという。
原典より
それには、昨夜の午前二時ごろ村山先生が亡くなったということが記されていた。—— 沖縄怪談集 逆立ち幽霊(伊波南哲) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
沖縄怪談集 逆立ち幽霊(伊波南哲)
『沖縄怪談集 逆立ち幽霊』は、石垣島で育った詩人の伊波南哲が、新聞や雑誌に書いた話と書きおろしを合わせ、沖縄の怪談を物語風に綴った怪談集である。那覇の辻遊廓や一日橋、首里、石垣島・竹富島などを舞台に、遊女や捨てられた女の幽霊、遺念火、キジムナー、お化け封じの術を描き、戦後のタクシー幽霊の噂や東京で起きた位牌の嫁入りの話も取り上げる。題を付けた二十二話のあとに「怪談断片集」を置き、少年時代を語る「果たして幽霊はいるのか」で結ぶ。