琵琶を抱くはだか弁天
どんな伝承か
寺社に秘められた仏の中には、性を露わにしたものが少なくない。原浩三の調査をもとに著者が並べた一覧には、全裸の阿弥陀如来や前を出した地蔵などとともに、神奈川県江ノ島の「はだか弁天」が挙がっている。これは琵琶を抱いて腰かけた姿の像で、女陰がはっきりと刻まれているという。埼玉県飯能の奥、小岩井の無量寺にある弁天も同じ形で、股間をくすぐると微笑むと伝えられることから「くすぐり弁天」と俗称される。祭礼で性をかたどった物を担ぎ出す習俗が下地にあったから、社寺にそうした像があっても人は驚かなかったのだ、と著者は説く。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・今野圓輔・民俗学・昭和(高度成長期))
民俗学者・今野圓輔が高度成長期の日本に残る迷信を社会派ルポとして告発・分析した一冊。序章では、静岡県掛川市で異性双生児を畜生腹と恥じた母親の母子心中事件、青森県三本木市でキツネ落としと称して女を火あぶりにした殺人事件など、迷信が現代も殺人・心中を生む『黒い習俗』を突きつける。