雑巾を蔵金と詠んだバッソンの狂歌
どんな伝承か
布川に昔、ナベヤという大金持ちが住んでいた。田んぼを豆腐のように一町二町と気軽に買ったという。江戸時代末の布川にバッソンという狂歌師がいて、正月にナベヤへ挨拶にうかがった。バッソンが来ると頓知が聞けて楽しいので、寝正月を決め込んでいたナベヤは大急ぎで起き出し、顔を洗うのはもどかしいと濡れ手拭いを持ってこさせた。ところが出てきたのは雑巾で、正月早々雑巾で顔をふいた主人は真っ赤になって怒り、手伝いの女は真っ青になった。これを見たバッソンが、ゾウキンも漢字で書けば蔵に金、内も福ふく外も福ふく、と詠むと、主人は機嫌を直し、手伝いの失敗も許したという。
原典より
正しくは、雑巾なのだが、トンチで、蔵金と書きかえてしまったわけだ。—— 利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説(利根町(編)・利根町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説(利根町(編)・利根町史)
『利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説』は、利根町が編んだ町史の一巻で、第一章を「民話と伝説」にあてる。町内を歩いて聞き集めた話と『北相馬郡志』などから引いた話を収め、大平権現や布川の地蔵の由来、バッソンの笑い話、大蛇・河童・むじなやキツネに化かされた話、押付新田の鶴殺し事件などを載せる。伝説と昔話に分けず文・布川・文間・東文間の地区ごとに節を立て、各話の題に伝承地を添え、話者名や方言の語釈を注記する。