いいかんだの酒とっくり(坂本家)
どんな伝承か
大房の坂本五郎左衛門の持田に、イイカンダと呼ばれる田んぼがある。人に頼んで田の草をとってもらっていたが、怠ける人が多くてはかどらない。そこで田の真ん中に、酒を入れたとっくりを置いておいた。まわりからとっていって、とっくりのところにつくころには酒にほどよい燗がついていて、みんなも一生懸命に草をとったそうだ。大房の佐藤泉屋の、カッパ沼の近くの大きな田んぼにも同じような話がある。仕事の遅い者が、どうだや、と叫ぶと、手早く先についた者が、ああ、いいかんだどう、と叫んでうまそうに酒を飲んだのだそうである。イイカンダは永井道のおんどまりの論所排水の近くにあり、戦後は三枚の田になっていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説(利根町(編)・利根町史)
『利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説』は、利根町が編んだ町史の一巻で、第一章を「民話と伝説」にあてる。町内を歩いて聞き集めた話と『北相馬郡志』などから引いた話を収め、大平権現や布川の地蔵の由来、バッソンの笑い話、大蛇・河童・むじなやキツネに化かされた話、押付新田の鶴殺し事件などを載せる。伝説と昔話に分けず文・布川・文間・東文間の地区ごとに節を立て、各話の題に伝承地を添え、話者名や方言の語釈を注記する。