酒屋通いで台石だけの酒買い地蔵
どんな伝承か
地蔵は民衆に親しまれた分、扱いも遠慮がない。願いをかなえたら解いてやると荒縄で縛りつけられる地蔵が東京にあるかと思えば、仏の側にも身持ちの定まらぬ者がいる。著者は、美女に化けて酒を買いに通ったという東京台東区の化け地蔵、夫婦で抱き合ってばかりいるという静岡県金谷の道楽地蔵と並べて、岩手県の遊び地蔵と盛岡市の酒買い地蔵を挙げる。これらは酒屋や色街にばかり出歩いていて、三年に一度ほどしか戻って来ないため、祠にはいつも台石だけが残っているのだという。これでは地蔵もいつまでも高い権威を保てまい、というのが著者の感想である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。