頭から釜が取れなくなった欲深婆
どんな伝承か
旅の途中の弘法大師がある農家に寄り、持って来た五合の米を出して煮てくれと頼んだところ、欲深い婆様が少しよこどりして煮て出した。大師があまりに少ないので「これで五合か」と問うと、婆様は「そんなことね」と否定した。そこで大師が「その釜をかっぱらってかぶってもらいたい」と言い、婆様が本気で釜をかぶると、大師が「弘法大師南無遍照」と唱えたため釜が頭にくっついて取れなくなり、婆様は泣いて謝った。大師が再び唱えごとをすると釜はポーンと取れた。袈裟衣をつけた坊さんをだますと七代祟られるというのはこれによる。
原典より
また坊様が唱えごとをしたら、その釜がポーンととれたってわけだ。—— 壬生町史 民俗編――伝説(壬生町(編)・壬生町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
壬生町史 民俗編――伝説(壬生町(編)・壬生町史)
『壬生町史 民俗編――伝説』は、壬生町史民俗編のうち昔話と伝説の章を収めたものである。町史編さんの調査で町内の古老から集めた昔話を方言を生かして再話し、話者名を添えて動物昔話・完形昔話・笑い話・世間話に分けて並べる。伝説は吉次の墓・親抱きの松・大御堂などを動植物・歴史上の人物・塚と渕・神仏・地名に分け、地元の伝承に『郷土誌』『壬生領史略』などの文献からの引用を交えて載せ、一部の話に解説を付す。