片側にだけ葉を出す本所の葦
どんな伝承か
本所七不思議のひとつに片葉の葦がある。葦の葉が一方にだけ生え、反対側には出ないというもので、川べりに見られる。同じ話は千住にもあり、隅田川や荒川に沿う本所と千住の不思議として知られてきた。千住のほうは、弘法大師が荒川を渡ったとき、その威光に河原の葦がひれ伏して一方へなびいたのだと伝える。本所の片葉の葦は橋のたもとの片側だけに生え、流れの強いところに集まっている。片側にしか葉がないと、土地の人は神霊が宿るのだと考えた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪の民俗学――日本の見えない空間(宮田登・宮田登・民俗学・昭和(現代民俗学))
民俗学者・宮田登が、妖怪を『日本の見えない空間』の問題として論じた現代民俗学の名著。Ⅰ妖怪のとらえ方では、柳田国男『妖怪談義』の妖怪論(妖怪は出る場所が決まり、零落した神)と、幽霊(都市の人間関係から相手を追って出る)との区別、昭和五十四年に流行した口裂け女(受験社会で母に叱られる子供の心意の投影、『喰わず女房』の鬼女の再来)と産女、島根県松江の雲州皿屋敷のお菊、明治の井上円了の妖怪学と真怪・仮怪の分類を扱う。