椀を割った男が大師の玉で殿様に生まれ変わる
どんな伝承か
香川県に伝わる「弘法と椀」の説話。托鉢の坊さんが子だくさんの家をまわり物乞いをしたところ、吝嗇な主人が「お前らにやる米粒一つもない」と怒って坊さんの椀を割ってしまい、するとその家の子供たちがみな死んでしまった。ただ者ではないと悟った主人は坊さんを追いかけ、四国八十八か所を巡り歩いてついに阿波のある寺で力尽きて死ぬ間際、姿を現した弘法大師から「次に生まれ変わるときは殿様にしてやる」と玉を授かった。その後、阿波のある殿様に生まれた子はその玉を手に握っていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書)
『新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説』は、香川県の叢書の民俗篇のうち、第八編「口承文芸」を収めた部分である。香川県内の昔話と伝説を扱い、昭和初年からの採集の歩み、呼び名や発端・結末の句、桶屋やほうろく売り・遍路などの運び手、語り手の横顔を論じたうえで、綾上町などで聞いた未発表の昔話を話者名付きで掲げる。伝説の章は樹木・石と岩・水と池と渕・塚と穴・祠と堂・坂と山と峠と谷・動物の項目に分け、各話の末尾に伝承地の郡町名を添える。