滝の宮のヨサの宮さん(産神問答)
どんな伝承か
昔、塩売りが雨に降られ、塩がとけては銭にならないので、滝宮のヨサの宮さんに頼んで縁の下に泊まっていた。夜中ごろ、馬に乗った者が来て、どこそこで産気づいたから来てくれと宮の神に告げた。神は客人が泊まっていて動けないと言いながらも出かけて行った。生まれたのは男の子で、定命は四つ、水におぼれて死ぬという。ちょうど塩売りの妻も産み月で、帰ってみると案の定、男の子が生まれていた。夫婦は気をつけようと言い合ったが、四つの年、母親が湯から戻ると子の姿がない。台所の境に「水」という模様の入ったのれんが吊ってあり、子はそののれんにくくりつけられて死んでいた。それで滝宮のヨサの宮さんはお産の神様だという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書)
『新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説』は、香川県の叢書の民俗篇のうち、第八編「口承文芸」を収めた部分である。香川県内の昔話と伝説を扱い、昭和初年からの採集の歩み、呼び名や発端・結末の句、桶屋やほうろく売り・遍路などの運び手、語り手の横顔を論じたうえで、綾上町などで聞いた未発表の昔話を話者名付きで掲げる。伝説の章は樹木・石と岩・水と池と渕・塚と穴・祠と堂・坂と山と峠と谷・動物の項目に分け、各話の末尾に伝承地の郡町名を添える。