米一升と神酒で頼むクダ使いの老婆
どんな伝承か
伊豆の神津島には、七十ばかりの老婆がクダを使うと言われていた。迷いごとを抱えた者は米を一升にお神酒を添えて持参し、この老婆に伺いを立てたという。クダ狐はふつう、飼っている家から狐のほうで心得て出てきて人に憑くので、その家の主人は狐使いとは呼ばれない。ところがクダの伝わる土地には、はっきり使うつもりでこれを操る者がいると考えられており、山梨では法印が、長野の小県では箱に人形とクダを納めた口寄せ巫女が村々を巡ったと記される。この老婆もその系列に数えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年))
『日本の憑きもの――俗信は今も生きている』は、石塚尊俊が昭和三十四年に著した研究書である。狐・犬神・蛇などの動物霊が人に憑くという俗信と、それを操るとされる家筋について、全国の伝承と近世以来の文書を集めて論じる。出雲・隠岐・豊後・土佐では筋の家の割合や縁組の偏りを調べ、憑きもの落としの行法や家の神とのつながりまでを七章で追っている。