遠寿院の荒行を経たゲンジャの狐落とし
どんな伝承か
千葉県市川の中山にある遠寿院では、十一月から二月までの百日間の荒行をやり通した者に、修法師、俗にゲンジャと呼ばれる資格が与えられるという。この資格を持つ者は憑きもの落としの秘法を行えるとされる。そのやり方は、病人から三尺ほど離れて座り、ボッケンと呼ぶ剣先形の板の裏に経文を書いたものの上に長い数珠を畳んで右手に持ち、九字を切りながら法華経の三本経や祈禱経を一時間ほど休みなく早口で唱え続けるというもので、そうすれば憑きものは落ちるという。
原典より
現在でも、市川の中山にある遠寿院で、十一月から二月に至る百日の荒行を続けた者には、修法師、俗にいうゲンジャという資格が与えられるそうであるが、この資格を得た者は憑きもの落としの秘法をおこなうことができるといい、…—— 日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の憑きもの――俗信は今も生きている(石塚尊俊・1959年(昭和34年))
『日本の憑きもの――俗信は今も生きている』は、石塚尊俊が昭和三十四年に著した研究書である。狐・犬神・蛇などの動物霊が人に憑くという俗信と、それを操るとされる家筋について、全国の伝承と近世以来の文書を集めて論じる。出雲・隠岐・豊後・土佐では筋の家の割合や縁組の偏りを調べ、憑きもの落としの行法や家の神とのつながりまでを七章で追っている。