持ち主を離れて泣いた湯釜
どんな伝承か
山上村三沢の十郎右ェ門という若者が、矢沢の遊女お花と情を交わし、身受けして嫁にした。お花は愛用の湯釜も嫁入り道具と一緒に持ってきたが、夫と共に田畑に出て働くうち無理がたたって早死にしてしまった。その後、十郎右ェ門の家は家運が傾いて湯釜も手離したが、それを買った米沢の商人の家では、夜になると湯釜のある勝手座敷で女の泣き声がした。気味悪がって笹野のある家に売ったところ、そこでも毎夜泣き声に悩まされ、湯釜は商人を経て十郎右ェ門の家へ戻された。それ以来、安心したのか泣き声は聞かれないという。
原典より
山上村三沢に十郎右ェ門という若者がおった。—— 米沢市史 民俗編――伝説(米沢市(編)・米沢市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
米沢市史 民俗編――伝説(米沢市(編)・米沢市史)
『米沢市史 民俗編――伝説』は、米沢市が編んだ市史の民俗編から、第八章「口承文芸」第三節「伝説」を収めたものである。狐・河童・蛇にまつわる話、上杉家の家臣や弘法大師・源義経にちなむ話、沢・池・岩の由来、地蔵や不動尊の霊験、温泉の開湯譚、長者屋敷など、米沢とその周辺に伝わる伝説を一話ずつ短くまとめて載せる。全体を「鳥獣・草木」「人霊」「山・川・湖沼」「地蔵・社寺」「温泉・町・村」の五項に分け、遠山と田沢の七不思議も列挙する。