味噌桶にとぐろを巻いた蛇
どんな伝承か
塩井の毘沙門天は徳一上人が開き、伊達尚宗が建て直したものと伝わる。塩井の糀屋で味噌を仕込んだ九尺桶が酸っぱくなってしまい、毘沙門堂の別当に祈祷を頼んだ。別当は、七日のあいだ朝の祈祷を続けるから、桶を毘沙門天の名で封印し、それまで決して蓋を取るなと告げた。ところが糀屋は気が気でなく、五日目にこらえきれず蓋を開けてしまう。桶の中には大きな蛇がとぐろを巻いており、糀屋は驚いて気を失った。七日目、別当を招いて祈祷のうえで蓋を取ると、味噌は見事な山吹色に仕上がっていたという。糀屋では今も毎年、出来たての味噌を毘沙門天に供えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
米沢市史 民俗編――伝説(米沢市(編)・米沢市史)
『米沢市史 民俗編――伝説』は、米沢市が編んだ市史の民俗編から、第八章「口承文芸」第三節「伝説」を収めたものである。狐・河童・蛇にまつわる話、上杉家の家臣や弘法大師・源義経にちなむ話、沢・池・岩の由来、地蔵や不動尊の霊験、温泉の開湯譚、長者屋敷など、米沢とその周辺に伝わる伝説を一話ずつ短くまとめて載せる。全体を「鳥獣・草木」「人霊」「山・川・湖沼」「地蔵・社寺」「温泉・町・村」の五項に分け、遠山と田沢の七不思議も列挙する。