むじな捕りの夜に聞こえた飛行機の音
どんな伝承か
住居附のある男は、秋にむじなの穴を見つけておき、針金の輪を仕掛けて出てくるところを捕らえようとした。掛かれば鳴るように鈴をつけ、寒さしのぎに炭火をおこして夜の十一時、十二時まで待ったが、その晩は掛かりそこねて穴へ戻られた。ほかのむじなが鳴きながら通り、兎がトンコトンコと歩き、世の中が生き物だらけに思えた。そのうち飛行機の音が聞こえ、戦争でも始まるのかと弟と話していたが、だんだん気味が悪くなって松明をともした。飛行機と聞こえたのはメクラドンブの音で、その夜は眠れず、むじなも捕れなかったという。
原典より
メクラドンブの音が、飛行機に聞えたのだが眠れなくなった。—— 群馬県多野郡上野村の民俗 上――俗信・山の怪異(群馬県民俗調査報告書 第2集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県多野郡上野村の民俗 上――俗信・山の怪異(群馬県民俗調査報告書 第2集・群馬県民俗調査報告書)
『群馬県多野郡上野村の民俗 上――俗信・山の怪異』は、上野村で行われた民俗調査の報告のうち、聞書と俗信の部分を収めたものである。川和・住居附・野栗・奥名郷・勝山・野栗沢などで聞いた講、病気の呪い、雨乞い、禁忌と兆、山の神とオコジョ、オサキや狐つき、狐やむじなに化かされた話、一ツ目入道や山姥を、話者や部落名を添えて記す。上野勇の聞書と、昭和二十三年に東部の部落を調べた関口正の報告が入り、井田安雄の「乙父の民俗」は書き出しだけが載る。