苗代へ餅稲を植えぬ
どんな伝承か
全国の慣習調査で集まった農業にまつわる迷信のうち、稲の栽培に関する報告例では、新潟県聖籠村の農家から「苗代へ餅稲を植えぬ」という言い伝えが報告されている。神に供える米だからと、一度苗代として使った跡地に餅稲を作ることを避ける習わしで、報告者はその理由を、苗代跡地の生産力低下や稲熱病発生の懸念といった技術的な問題以上に、神聖な米ゆえに使い古した土地を避けたい気持ちから生まれたものだろうと考察している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本の俗信 1――迷信の実態(迷信調査協議会(編)・日本の俗信・1949年(昭和24年))
『日本の俗信 1――迷信の実態』は、迷信調査協議会が編み、昭和二十四年に初版を出した迷信調査の報告書で、昭和五十四年に洞史社が復刻した。文部省が昭和二十一年に企画し、全国の小学校を通じて行った慣習状況調査をもとに、暦・日の吉凶・方角・妖怪・占い・民間療法・農漁業にまつわる迷信を統計と解説で扱う。第一章を古畑正秋・今野圓輔らの分担執筆とし、第二章に昭和二十四年度調査の手引、第三章に各地の言い習わし集、第四章に天文暦法の迷信の解明を置く。