田植を手伝った娘姿の田植地蔵
どんな伝承か
万世の梓山にある普門寺の境内に田植地蔵が祀られている。昔、ある農家で苗がうまく育たない年があり、方々の家から余り苗を譲り受けてようやく田植を始めたが、いつまでも終わりそうにない。猫の手も借りたい忙しさに気ばかり焦る田植衆の中に、どこの娘とも知れぬ者が交じって、上手に苗を植えていた。日が西に落ちてようやく終わり、膳を並べると娘の噂で持ちきりになったが、誰も素性を知らない。日ごろ信心する主人の苗不足を聞き、地蔵が娘の姿になって手伝いに来たのだろうと語られた。間にあわせ地蔵とも呼ばれ、参れば苗に不足しないという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
米沢市史 民俗編――伝説(米沢市(編)・米沢市史)
『米沢市史 民俗編――伝説』は、米沢市が編んだ市史の民俗編から、第八章「口承文芸」第三節「伝説」を収めたものである。狐・河童・蛇にまつわる話、上杉家の家臣や弘法大師・源義経にちなむ話、沢・池・岩の由来、地蔵や不動尊の霊験、温泉の開湯譚、長者屋敷など、米沢とその周辺に伝わる伝説を一話ずつ短くまとめて載せる。全体を「鳥獣・草木」「人霊」「山・川・湖沼」「地蔵・社寺」「温泉・町・村」の五項に分け、遠山と田沢の七不思議も列挙する。