雀の声で米のこぼれを知った大寂和尚
どんな伝承か
昔、正能の龍花院に大寂上人という徳の高い和尚がいた。ある年、大越の大尽のもとへ米を納めに来た小柄な馬方が、三俵を馬に積んで礼羽の金蓮院の近くを通った。あれで力があるのかと見物人に言われた馬方は、わざと鞍を返して俵を破り、米をばらまいたが、こぼれた米をきれいに拾い集めて三俵を軽々と積み直した。寺にいた大寂和尚はそれを見ていなかったのに、境内の雀の声を聞いて、金蓮院のあたりにこぼれた米があると雀が話していると小僧に告げたという。また屋根の葺き替えでは三隣亡の日にも職人を働かせ、火縄をくわえた三隣亡という鳥が通るときだけ下ろして、衣の内からその鳥を見せたとも伝わる。
原典より
大寂さんには、雀の話がよくわかったのです。—— 騎西町史 民俗編――伝説・昔話・妖怪(騎西町(編)・騎西町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
騎西町史 民俗編――伝説・昔話・妖怪(騎西町(編)・騎西町史)
『騎西町史 民俗編――伝説・昔話・妖怪』は、騎西町が編んだ町史民俗編のうち、方言一覧の末尾と第9章「伝説・昔話」を収めたものである。調査協力委員や地域の老人クラブを通じて集めた二十八話で、久伊豆明神(玉敷神社)の獅子、雷電社の雨乞い、和尚の説話、いぼとり地蔵、入定塚、念仏橋、狐やムジナに化かされた話などを、話者名や郷土誌の出典を添えて載せる。章のはじめに伝説と昔話の違いを述べ、神社・寺堂・塚と橋・行事のいわれ・妖怪談の五節に分ける。