膳椀を貸してくれた椿原の柿の木
どんな伝承か
鯖江市水落町の電車の駅付近は、近年まで数十株の椿の木があり、春には赤い花が咲いて綺麗であった。その椿原の中央に一本の大きな柿の木があったという。村人がその柿の木の下で、家に物事があるので膳椀を何人前か貸してほしいと願うと、翌日には願いどおりの膳椀が取りそろえてある。借りた者は用が済むときれいに元どおりにして礼を言って返していた。ところがある村人が、あまりに立派なので惜しくなり一箇少なくして返した。それからは村の誰が願いに行っても、二度と貸してもらえなくなったという。
原典より
水落の電車の駅付近は、近年まで数十株の椿の木があって、毎年、春になると赤い花が咲いて綺麗であった。—— 鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説(鯖江市(編)・鯖江市史)
『鯖江市史 史料編 第1巻(民俗編)――伝説』は、福井県鯖江市の市史のうち、史料編第一巻の民俗編にあたる巻である。市内の各町に伝わる伝説を、町名を添えて収め、泰澄・親鸞・弁慶にまつわる木や岩、山姥やてんぐ、たたりのある一本杉、地名の由来を記す古文書の写しなどを載せる。自然物・岩石・動物・家屋敷・城跡・道・橋・寺院・塚墓・人物・事件の項に分け、後半には昔話・笑い話・果なし話と田植え唄などの民謡を置く。