腰元蟹と箕輪の姫の辞世
どんな伝承か
箕輪城が落ちたとき、城の姫は十八歳であったという。姫は「春風に梅も桜も散り果てて、名残り尽せぬ箕輪の里」と辞世を残し、山づたいに落ちのびて榛名の沼へ身を投げた。供の腰元たちも後を追って身を投げ、蟹となったので、これを腰元蟹と呼ぶ。別の言い伝えでは姫は竜と化し、吾妻の善導寺へ鱗を一枚置いてきたので、寺と湖はつながっているとされる。長年寺の井戸も湖に通じており、五月に赤飯を湖の真ん中へ供えると、その赤飯が寺の井戸に浮き出たという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。