初午に茶を控える茶の木の陰
どんな伝承か
稲荷様が唐土から稲の穂をくわえて持ち帰ったが、追手に迫られ、茶の木の陰に身をひそめてやり過ごしたという。それが二月の初午の日であったことから、沢入では初午に四つ前——午前十時になる前——に茶をいれてはならないといい、稲荷様が茶の木の下に隠れているのだから茶の葉を摘むな、とも言い伝える。いまも土地では、初午の朝は十時前に茶を飲まない習わしが守られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。