伊勢参りをした坂東太郎の石
どんな伝承か
むかし、坂東太郎という者が伊勢参りに出かけた。太郎は伊勢の旅館に七日ばかり泊まって遊んだあげく、宿賃を払わないまま自分の村へ帰ってしまった。困り果てた宿の者は、太郎が住んでいると話していた村を訪ね、宿賃を求めて尋ね歩いたが、村の者は誰もそんな人は知らないという。そこで太郎が住処だと話していた場所へ行ってみると、そこにあったのは一つの石で、石の上には縞模様の財布が置かれ、中に七日分の宿賃がきちんと入っていた。この石が坂東太郎で、人間に姿をかえて伊勢参りをしたのだという話である。
原典より
あるとき、坂東太郎と申す者が伊勢参りに行きました。—— 日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。