神に片目を譲った不湖の池の鮒
どんな伝承か
山城の国から北陸へ移ってきた神が、津幡町の加茂からさらに鉢伏の地へ移ってきた。あたりを見ようと鮒に姿を変えて泳いでいると、垂れ下がっていた桃の小枝が目に当たり、目が開かなくなってしまった。苦しむ神の足元に一匹の鮒が現れ、横山の不湖の池に住む者だと名乗って自分の片目を差し出し、池の近く、少し北に清らかな水の湧く泉があり、その山を神山と呼ぶ、そこが社地にふさわしいと告げて消えた。痛みは去り、翌年、神は横山の今の場所へ社を移した。大同二年のことという。以来この池の鮒は片目が細く、漁は禁じられ、破れば七日も天気が崩れたと伝える。神が目を傷めた鉢伏では、桃の花は咲いても実がならなくなったという。
原典より
<高木「片眼魚」 柳田―「片目神」遠い山城の国から、はるばると北陸の地へ移ってこられた神様が、ここ鉢伏の地へ津幡町の加茂からまた引っ越してこられました。—— 日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。