桃の実に目を打たれた賀茂明神
どんな伝承か
『横山賀茂神社略縁起』の記す縁起。大同元年、当国加賀郡の鉢伏村に大明神が初めて鎮座した。その御神霊が鮒の身となって御手洗川に遊んでいると、にわかに暴風が起こり、川辺の桃の実が吹き落とされて魚の目に当たった。悩み苦しむうちにあたりは闇夜のように暗くなり、人々は怪しんだ。その夜、明神が夢に告げ、北の方に霊地があるからそこへ移せと神託を下した。氏子はこれを承け、大同二年に今の横山の地へ社殿を造営して迎えたという。以来、金津の庄の堤や江川に棲む鮒はみな片目が細く、この庄内に生える桃は花は咲いても実を結ばない。いにしえに神霊が深く憤ったためだと言い伝えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第6巻』所収の「文化叙事伝説」全44話(福井・富山・石川=北陸)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。