先を越された兄神と大明神の岩
どんな伝承か
太古、若狭彦大神が兄神とともに近江の方から山を越えて若狭へ入った。兄神が上根来との境の山頂にある、いまも大明神と呼ばれる岩の上で昼寝をしている間に、弟神は先回りして遠敷の地を占め、そこへ鎮まったという。気づいた兄神は急いで山を滑り下りたが、それ以来、二神は不仲になってしまった。大明神の西にある大岩ゴザ岩、その南の馬ツナギバは、そのときの名残を留めるものだと伝える。兄神は宮川村の加茂に鎮座することになり、後世まで遠敷と加茂の村人は相容れず、近年まで縁組みもできなかったという。
原典より
太古、若狭彦大神が兄神と共に、近江国の方から上根来との境の山を踏み分けてやって来られた(この神々は海幸彦山幸彦として有名。—— 日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。