若狭小浜に人魚現れ真仙と名づく
どんな伝承か
人魚の出現を記録した古記録には各時代の事例が連ねられており、延慶三年四月十一日には若狭国小浜の津に人魚が現れたことが『嘉元記』に記されている。この人魚は真仙と名づけられ、その出現によって国土が平らかに治まったと伝えられ、瑞兆とみなされた。人魚の出現はしばしば凶事の前兆として恐れられた例が多いなかで、この小浜の記録は珍しく吉兆として語られている。
原典より
之を真仙と名づけたが、國土は平らかに治った—— 動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))
『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など二十六の項目を立て、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどり、動物学の知識で正体を考える。總論で起原・歴史的変遷・分類などを論じ、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。