酒が湧いた孝子の滝
どんな伝承か
美濃の不破郡に、心やさしい貧しい若者が住んでいた。年老いて病に伏した父は酒を好んだが、若者には買ってやる余裕がない。ある日、山へ薪を拾いに入って岩の間へ足を踏み外したところ、酒の香のする水が湧き出ているのを見つけた。すくって飲むとまさしく酒の味である。若者は喜んで瓢に汲み、父に飲ませた。父の病はたちまち癒え、若返ったように元気になったという。この話は都まで届き、元正天皇がみずから滝へ行幸された。天皇は若者の孝行を賞し、めでたい出来事にちなんで年号を養老と改められたと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。