夢の老翁が教えた飛騨の霊泉
どんな伝承か
東美濃のある村に孝行者の息子がいた。父が病を得て手を尽くしても治らないので、薬師如来に願をかけたところ、夜の夢に白髪の老翁が枕元へ立ち、ここから三十里隔たった飛騨の東の境に湯が湧いている、そこへ入れと告げた。息子は父を背に負って飛騨へ分け入り、里人に道を尋ねながら数日探し歩いたが見つからない。行き暮れていると再びあの老翁が現れ、この下の岩の間に百病を癒す霊泉があると言い残して消えた。息子は父をその湯に浸からせ、難病を治したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。