笠を着せられた観音と玉照姫
どんな伝承か
呼続の浦へ流れ着いた浮木は夜ごとに光を放ち、その光を見た者は疫病にかかったという。禅光上人はこの木から十一面観音を刻み、堂を建てて小松寺と名づけた。天平年間のことと伝わる。二百年ののち堂は朽ち、像は野中に取り残された。鳴海の長者に仕えていた玉照という娘は、雨に打たれる像を憐れみ、人から貰った笠をその頭にかぶせる。長者の屋敷に泊まった兼平中将は娘を見初めて京へ伴い、玉照姫は関白家の夫人となった。姫はのちに天皇へ奏し、中将とともに下って寺を建て、笠覆寺と名づけたという。これが今の笠寺観音である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。