黒髪明神の社に化けた三匹の狸
どんな伝承か
浦上四郎の士に大森外記という者があり、多可郡荒田のあたりを通ったとき、二十歳ばかりの美しい女房と行き会って十丁ほど道を連れ立った。山際に大きな家があり、誘われて酒を飲んで臥せると、夢のようにその家に八十ばかりの老女が現れ、ぜひこの家の婿にと請われて承知した。明くる夜、当宮の黒ひげへ夫婦で籠もれと言われ、山中の大社で女と籠もる。戸を閉めて人が帰ったのち、六尺余りの白ひげの男が鉄の棒を持って戸帳を開き、内には一丈ばかりの黒ひげの男が鉄の弓と棒を構えて外記をにらんだ。外記は刀を抜いて社家と娘を斬りつけ、黒ひげも殺した。見れば社も消え、山中に狸三匹が血にまみれていた。それゆえ黒髪明神と呼ぶという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第8巻』所収の「文化叙事伝説」および「自然説明伝説」全133話(滋賀・京都・兵庫=近畿)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。