狐が教えた仙右ヱ門の目薬
どんな伝承か
長沢村に仙右ヱ門という人が住んでいた。屋敷は広く、その西手の竹藪に狐が一匹棲みついていたという。大飢饉の年、仙右ヱ門の夢にその狐が現れ、子を産んだものの食べ物がなくて困っている、助けてほしいと訴えた。不審に思いながらも、彼は毎晩、握り飯を竹藪へ運んだ。何日かして再び夢に現れた狐は、おかげで子らも育ったと礼を述べ、目薬の木と土器を贈るといって薬の作り方を教える。翌朝、門口には目薬の木と土器が数多く置かれていた。教えられたとおりに調えて売り出すと村じゅうの評判となり、以後この家は代々仙右ヱ門を名乗って目薬を商い、大正の初めまで続いたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。