勢陽五鈴遺響が記す炮烙岩
どんな伝承か
『勢陽五鈴遺響』は、松阪の大石の堂の東、山尾崎の道の傍らにある巨岩を、土地では炮烙岩と呼ぶと記す。高さは十四間ばかり、組み上がった大岩は今にも街道へ落ちそうな勢いだが、頂に鉄の輪があって日の光が透ける所があり、それでも地に落ちないのだという。昔、土器を売る者がここを通るとき、落ちてくるのを恐れてためらい、日を暮らしてしまった。それでほうろく岩と呼ぶ。肥前の長崎と時津の間にも同じような巨岩があり、魚売りがためらううちに魚が腐ったので鯖腐石と名づけたことが『雲根志』に載る、とも記している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。