佐比売山を開いた狭姫
どんな伝承か
大田市三瓶町に伝わる話。三瓶山はもと佐比売山と呼ばれ、神亀三年に朝廷の命で三瓶山と改められた。佐比売山の名は、赤い雁の背に乗って海を渡って来た小さな姫、狭姫がこの山を開いたことに因むという。姫は母を荒ぶる神に斬られたのち、遺された種を三つに分け、一つを故郷に、一つを雁に与え、残りを携えて来た。比礼振山の麓で稲麦豆を蒔き、東へ種を蒔きながら旅して三瓶山に落ち着く。途中で会った足の長い大人には手の長い女を娶せ、多根の里に穀物の種を蒔いて二人の住まいを整えたと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。